葉酸

葉酸の主な効果は、ビタミンB12とともに造血を助けることです。一般的に「貧血を防ぐ」、「口内炎を予防する」、「病気に対する抵抗力を高める」などと言われています。

葉酸は造血作用の他、ヌクレオチド類(核酸の構成単位にもなる低分子生体物質)の生合成やアミノ酸の代謝、たんぱく質の生合成、ビタミンの代謝にも関与しています。

葉酸はアミノ酸や核酸の合成に必要な補酵素のため、細胞分裂が活発な場所で欠乏症が発生しやすくなります。そのため、妊娠の時期(妊娠初期が重要)に葉酸が不足していれば、妊娠の4週~5週頃に胎児に神経管閉鎖障害が発症するリスクがあるとされています。

葉酸の摂取は、高ホモシステイン血症の治療、先天性の神経管欠損症のリスク減少、関節リウマチ治療におけるメトトレキセートの副作用軽減に対して恐らく有効だとされています。

また、大腸がんのリスクを低減、乾癬治療におけるメトトレキセートの副作用軽減、白斑の治療に対しての有効性が示唆されています。


(栄養機能食品の機能表示)葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素です。葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素です。

(注意事項)本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。本品は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。


葉酸の1日当たりの所要量(18~69歳の所要量の平均値)。

・男性…240μg
・女性…240μg
・男女平均…240μg


(年齢…男性の所要量/女性の所要量)

・0~5か月…-μg/-μg
・6~11か月…-μg/-μg
・1~2歳…100μg/100μg
・3~5歳…110μg/110μg
・6~7歳…140μg/140μg
・8~9歳…160μg/160μg
・10~11歳…190μg/190μg
・12~14歳…240μg/240μg
・15~17歳…240μg/240μg
・18~29歳…240μg/240μg
・30~49歳…240μg/240μg
・50~69歳…240μg/240μg
・70歳以上…240μg/240μg


(妊娠中、授乳中は上記の所要量に下の数値を加える)

・妊娠中…+240μg
・授乳中…+100μg


(年齢…男性の耐容上限量/女性の耐容上限量)

・0~5か月…-μg/-μg
・6~11か月…-μg/-μg
・1~2歳…300μg/300μg
・3~5歳…400μg/400μg
・6~7歳…600μg/600μg
・8~9歳…700μg/700μg
・10~11歳…900μg/900μg
・12~14歳…1200μg/1200μg
・15~17歳…1300μg/1300μg
・18~29歳…1300μg/1300μg
・30~49歳…1400μg/1400μg
・50~69歳…1400μg/1400μg
・70歳以上…1300μg/1300μg


葉酸の欠乏症は次の通りです。

・免疫機能減衰
・動脈硬化の危険因子
・造血機能の異常
・巨赤芽球性貧血
・神経障害
・腸機能障害
・胎児の神経管閉鎖障害のリスク


葉酸の過剰症は葉酸過敏症(発熱・蕁麻疹・紅斑・かゆみ・呼吸障害など)です。


妊娠を計画する場合、葉酸の摂取が推奨されています(いわゆる栄養補助食品による1日400μgの摂取を推奨)。具体的には妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸を始めとする他のビタミンを含む栄養バランスの取れた食事が必要だとされています。

特に妊娠を計画した場合に葉酸の摂取が必要とされる理由は、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するためです。葉酸の不足は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを高める可能性が指摘されています。

この経緯としては、まず欧米を中心とした諸外国の研究により、葉酸の摂取が胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減することが報告されました。そして、これらの国では、妊娠可能な年齢の女性に対して葉酸摂取量を増加させるべきであると勧告がなされました。

このような経緯から、日本でも厚生労働省が検討を行い、「当面、食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日400μgの葉酸を摂取すれば、神経管閉鎖障害の発症リスクが集団としてみた場合に低減することが期待できる旨情報提供を行うこと」との決定がなされました。

ただし、「葉酸摂取量は1日当たり1000μgを越えるべきではない」ことも同時に発表されています。

1日400μgの数値は、「これまでの疫学研究においては、葉酸摂取量が1日360~500μgの範囲で、いわゆる栄養補助食品を用いた摂取方法による神経管閉鎖障害の発症リスクの低減がみられている」こと、「主要国の葉酸摂取の勧告では1日400~500μgとなっている」ことから決定されました。


神経管閉鎖障害とは、妊娠の4週~5週頃に起こる、胎児の脳や脊椎に関する先天異常のことです。4週~5週頃は脳や脊椎のもとである神経管が作られる時期に当たります。

日本での神経管閉鎖障害は、(死産を含み)出生する胎児1万人に対して約6人の割合で発症しています。葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害を100%防ぐことはできませんが、葉酸の摂取が神経管閉鎖障害の発症リスクを低減させると報告されています。

神経管閉鎖障害には二分脊椎と無脳症があります。二分脊椎は足や膀胱、直腸機能に障害が起き、無脳症は脳が形成不全となり頭部もほとんど形成されません。無脳症は出産前に診断が可能であるようです。


葉酸が多い食品の1~100位を掲載。(含有量は100g当たり)

・酵母のパン酵母の乾燥…3800μg
・アマノリの焼きのり…1900μg
・酵母のパン酵母の圧搾…1900μg
・アマノリの味付けのり…1600μg
・岩のりの素干し…1500μg
・パセリの乾…1400μg
・鶏の肝臓(レバー)の生…1300μg
・緑茶のせん茶の茶…1300μg
・アマノリのほしのり…1200μg
・川海苔(カワノリ)の素干し…1200μg
・緑茶の抹茶…1200μg
・牛の肝臓(レバー)の生…1000μg
・緑茶の玉露の茶…1000μg
・豚の肝臓(レバー)の生…810μg
・マツモの素干し…720μg
・乾燥わかめの板わかめ…510μg
・緑豆の全粒の乾…460μg
・乾燥わかめの素干し…440μg
・ヒシの生…430μg
・小麦胚芽…390μg
・うなぎのきもの生…380μg
・粒状大豆たんぱく…370μg
・菊の菊のり…370μg
・生ウニ…360μg
・ヒヨコ豆の全粒の乾…350μg
・和種菜花(ナバナ)の花らい・茎の生…340μg
・枝豆の生…320μg
・枝豆の冷凍…310μg
・カラシナの葉の生…310μg
・ほそめ昆布の素干し…310μg
・みついし昆布の素干し…310μg
・豚のスモークレバー…310μg
・ささげの全粒の乾…300μg
・たたみいわし…300μg
・バジルの粉…290μg
・ひまわりのフライの味付け…280μg
・ヒトエグサの素干し…280μg
・鮎の養殖の内臓の焼き…280μg
・きな粉の脱皮大豆…270μg
・分離大豆たんぱく…270μg
・空豆(そらまめ)の全粒の乾…260μg
・大豆の全粒の中国産の乾…260μg
・枝豆のゆで…260μg
・青のりの素干し…260μg
・真昆布の素干し…260μg
・鮎の養殖の内臓の生…260μg
・きな粉の全粒大豆…250μg
・モロヘイヤの茎葉の生…250μg
・鮎の天然の内臓の焼き…250μg
・牛の腎臓の生…250μg
・鶏卵の乾燥卵黄…250μg
・洋種菜花の茎葉の生…240μg
・洋種菜花の茎葉のゆで…240μg
・みずかけ菜の葉の生…240μg
・芽キャベツの結球葉の生…240μg
・干ししいたけの乾…240μg
・大豆の全粒の国産の乾…230μg
・ハスの未熟の生…230μg
・カタクチイワシの田作り…230μg
・ハゼの佃煮…230μg
・桜えびの素干し…230μg
・大豆の全粒の米国産の乾…220μg
・大豆の全粒のブラジル産の乾…220μg
・パセリの葉の生…220μg
・芽キャベツの結球葉のゆで…220μg
・まいたけの乾…220μg
・鮎の天然の内臓の生…220μg
・フォアグラのゆで…220μg
・濃縮大豆たんぱく…210μg
・浅葱(あさつき)の葉の生…210μg
・カラシナの塩漬け…210μg
・生ゼンマイの若芽の生…210μg
・ブロッコリーの花序の生…210μg
・ほうれん草の葉の生…210μg
・(発酵茶)の紅茶の茶…210μg
・浅葱の葉のゆで…200μg
・すぐきなの葉の生…200μg
・アスパラガスの若茎の生…190μg
・春菊の葉の生…190μg
・和種菜花の花らい・茎のゆで…190μg
・よもぎの葉の生…190μg
・えながおに昆布(こんぶ)の素干し…190μg
・たけあずきの全粒の乾…180μg
・芥子(けし)の乾…180μg
・ハスの成熟の乾…180μg
・アスパラガスの若茎のゆで…180μg
・高菜の葉の生…180μg
・ナズナの葉の生…180μg
・みずかけ菜の塩漬け…180μg
・あおさの素干し…180μg
・鶏卵の乾燥全卵…180μg
・繊維状大豆たんぱく…170μg
・ヨメナの葉の生…170μg
・ロケットサラダの葉の生…170μg
・りしり昆布の素干し…170μg
・(その他)の酒粕…170μg
・タラノメの若芽の生…160μg
・ふきのとうの花序の生…160μg
・白鮭の筋子…160μg
・ごまのいり…150μg